ブラームス《間奏曲 Op.118-2》── 静けさの中に宿る深い愛情

ピアノを再開してから、ずっと弾いてみたいと思っていた曲のひとつが、ブラームスの《間奏曲 イ長調 Op.118-2》でした。

初めてこの曲を耳にしたとき、「ああ、なんて優しくて温かいんだろう」と思ったんです。

でも、ただ優しいだけじゃなくて、どこか寂しさや切なさが滲んでいて…。

人生で起こった辛いこと、悲しいこと、そのひとつずつを取り出しては感情の渦に飲まれ、それでも幸せだったこと、喜びが温かく包んでいくイメージ。

それらの言葉にできない感情を、そっと音にしてくれているような気がしました。


目次

ブラームスと《間奏曲 Op.118-2》の背景

この曲を書いたのは、ヨハネス・ブラームス(1833–1897)
ベートーヴェンの精神を受け継いだとも言われる、真面目で内向的な性格の作曲家です。

《間奏曲 Op.118-2》は、彼が60歳の頃──つまり晩年に書かれた作品です。
全6曲から成る《6つの小品 Op.118》の中の第2曲で、このシリーズは彼の親友であり、深い絆で結ばれていたクララ・シューマンに捧げられました。

クララ・シューマンは、ロベルト・シューマンの奥さんでピアニストでした。

この時期のブラームスは、以前のような激しさやドラマティックさではなく、静かな情熱や人生の余韻のようなものを音に込めるようになっていきます。
この曲にも、そうした「人生の深み」が色濃く感じられます。


曲の構成と聴きどころ

形式としては、A–B–A’の三部形式になっています。

  • A部分は、まるで子守唄のような穏やかな旋律。和音の間でふっと揺れるようなハーモニーがとても美しく、心がゆっくりほぐれていくようです。
  • B部分に入ると、雰囲気がガラッと変わり、短調の世界へ。感情が押し寄せてくるような高まりがあり、聴いているこちらも胸が締めつけられるような部分があります。
  • そして最後に戻ってくるA’部分。再び静けさが訪れますが、今度は少しだけ違う。「優しさ」の中に、何かを乗り越えたような静かな強さを感じるのです。

弾いてみて感じたこと

ピアノ再開後まもなく、実際に練習を始めてみて、最初に感じたのは「簡単そうに聴こえるのに、こんなに難しいの!?」という驚きでした(笑)

テンポは速くないのに、内声の動きペダルのコントロールが本当に繊細で、音を濁らせずに響きを保つのがとても難しい。

また、中間部の激情的なパッセージと、前後の静けさのコントラストをどう表現するか・・・

一時は譜読みの途中で放置。

それから数年経ち、改めて取り組んでいます。

その間、カワイグレードを取得のため、バッハのインヴェンション、シンフォニア、平均律を勉強したことで、内声の弾き方、音づくりなど、多少レベルアップしていたので、以前よりはスムーズに練習を進められています。

完成したら演奏動画をアップしたいと思います。


この曲を通して学んだこと(学んでいること:現在進行形)

《間奏曲 Op.118-2》は、テクニックだけでは決して弾けない曲です。
むしろ、大切なのは「音と向き合う時間」や「心の動き」。
ブラームスがこの曲に込めた想いを想像しながら、自分自身と向き合うこと。

私はまだまだ修行中ですが、少しずつこの曲の深みに近づいていけたら…と思っています。


最後に:この曲に出会えてよかった

もし、まだこの曲を聴いたことがない方がいたら、ぜひ一度耳を傾けてみてください。
音数は決して多くないのに、こんなにも心を揺さぶる曲はなかなかありません。

そして、もし「いつか弾いてみたいな」と思っている方がいたら、その気持ち、大切にしてほしいです。
この曲に挑戦することで、きっとピアノともっと深くつながれると思います。


💡おすすめの演奏(YouTubeでぜひ!)

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